2023/11/8~11/10にかけて、Odoo Experience 2023がベルギーのブリュッセルにて開催され、Odooバージョン17.0がお披露目されました。以下、初日のOdoo社CEO Fabienのキーノートスピーチから諸々の新機能や改善ポイントにつき、プレゼンテーションに沿ってご紹介します。
関連リンク:
・Odoo Experience 2023 Keynote - Vision & Strategyについてのブログ記事はこちら
・Odoo社によるOdoo 17 リリースノートはこちら
・Odoo社のBlog記事"Meet Odoo 17"はこちら
ユーザビリティ
Odooのアイコンが全面的に刷新されました。
だいぶ印象が変わり、見慣れないと違和感がありますが、柔らかい印象になり、親しみを持ちやすくなったように、個人的には思います。
また、今までメニュー画面でアイコンの順番を変えることができませんでしたが、ドラッグアンドドロップで簡単に順番を変えられるようになりました。
かんばんビューでは、タイトル文字が大きくなったり、表示する情報量は変えずに見やすくなる工夫が施されました。
プロジェクトのかんばんビューでは、サブタスクを表示することもできます。
これまで検索ビューはフィルタ、グループ化、お気に入りの設定が分かれていましたが、検索欄の▼をクリックすると、それらをまとめて設定できるようになりました。
ウェブサイトビルダ
テキスト入力欄で、"/chat"コマンドを入力すると、chatGPTが立ち上がり、AI機能を使って文章を作成したり、修正したりすることができます。この機能はウェブサイトビルダだけでなく、チャターなどの文章を作成する時にも使えます。日本語でも利用可能です。
※ ChatGPTのアカウント登録など必要なくすぐに利用できます。
Webpイメージフォーマット(2010年にGoogleが開発した次世代画像フォーマットのことで、画像サイズが軽い)に対応し、Webpフォーマットを選択するとOdooが自動的に変換し、ファイルサイズが縮小されます。
CRM
ステージの表示欄でそのステージにどのくらいの時間がかかったかが表示されるようになりました。
チャターなどで外国語を翻訳したいときは、ボタンひとつで翻訳が可能です。
見積書の作成機能が改善されました。事前にPDFに設定しておくことで、見積書に会社情報やプロダクトのカタログ情報、過去の実績、取引条件などを入れ込むことができます。事務的な見積書よりも顧客にとって効果的であることが期待できます。
バー&レストラン
画面での注文がOdooでできるようになりました。
日本でも一般的になってきた店頭ディスプレイやタブレットなど画面での注文が可能になりました。支払端末とも連携されます。
コンボメニューに対応しています。
テーブル上のQRコードを読み込んで自分のスマートフォンで注文することもできます。
キッチン側では注文が入ったオーダが表示され、商品がそろえて処理をすると、顧客向けの番号表示用ディスプレイに注文番号が表示されます。
この機能は、バー&レストランだけでなく、イケアのようなお店でも利用可能です。
オンラインのテーブル予約機能もあります。
製造
受注時に在庫予測が表示されます。そこから製造予測へたどっていくと、部品の予測在庫が表示されるので、プロダクトの製造予測が分かり、納期を顧客に伝えることができます。
ショップフロア(製造現場)
製造現場での作業工程をタブレットで管理するためのアプリです。画面左側の作業者と上部の作業区を選択し、表示される作業オーダを管理します。
Odoo Studio 2
タスクのステージを完了に変更すると、タスクのステータスも完了に自動的に変更する、などの自動化の設定ができます。
フォームビューでプロパティフィールドを簡単に追加することができます。
追加したプロパティフィールドはかんばんビューやリストビューで表示させたり、検索ビューで検索したりグループ化することができます。
タイムシート
タイムシートで上位者を表示したり、請求時間の進捗率や合計時間などを表示できます。また、上位者にはクラッカーのアニメーションも表示できます。
リーダーボードでは、請求率や合計時間の順位を表示できます。
ナレッジ
変更履歴が管理され、変更箇所の比較ができます。
コメントをつけられるようになりました。
会計
経過勘定の入力が簡単になりました。事前に繰延モデルを設定することなく、請求書の入力時に開始日と終了日を入力するだけで、前受収益と前払費用を作成できます。
仕入先請求書の支払時に、支払い対象の請求書をまとめて選択し、支払登録ボタンをクリックし、支払方法を選んで支払処理を行うと、まとめて支払処理を行うことができます。
Peppol(電子インボイス)へ対応しました。
Odoo社は日本のローカリゼーションとして、Peppol PINT Japanのサポートを追加しています。Peppol インタグレーション と Odoo パートナーシップ アップデート Webinar (Japanese)
※ Peppolとは…
「Peppol」とは、電子文書をネットワーク上でやり取りするための「文書仕様」「ネットワーク」「運用ルール」に関するグローバルな標準仕様です。国際的な非営利組織である「OpenPeppol」という団体により管理されています。デジタル庁は、2021年9月より、OpenPeppolのメンバーとして活動しています。
デジタル庁は、日本のPeppol Authority(PA)として、グローバルな標準仕様である「Peppol(ペポル)」をベースとした日本におけるデジタルインボイスの標準仕様(JP PINT)の管理等を行っています。
(デジタル庁HPより:https://www.digital.go.jp/policies/electronic_invoice)
V16でなくなった銀行取引明細書が操作性が良くなってV17で戻ってきました。
仕入先でもあり、顧客でもある取引先の買掛金と売掛金の自動消込ができるようになりました。
全ての会計レポートの表示で、関係会社間の取引を含めるか含めないかを簡単に切り替えることができます。
複数会社管理の機能を使って、支店/事業部管理ができます。
分析勘定の入力時に複数のディメンションに入力できます。
分析レポートでは、ディメンションをドリルダウンして表示できます。
人事
チャートビューを選択すると、組織図を図表形式で表示できます。
※部品表でも同様の表示が可能です。
カレンダーアプリでは勤務場所を設定できます。
勤怠アプリをインストールすると、チェックイン、チェックアウトの操作がどの画面からも可能になります。
フロントデスク
来客時にお客様がご自身でチェックイン操作をし、飲み物を選択すると、担当者にメッセージが届きます。
テクニカル
ソースコードが大幅に削減され、パフォーマンスが約36%アップしました。
V16では、ひとつのOdooシステムで5,000ユーザーが利用可能でしたが、これを10倍の50,000ユーザーにスケールアップする予定です。ソースコードは完成していて、来年テストしてから展開する予定です。
Odoo V17リリース - 新機能や改善ポイント