2024/10/2~10/4にかけて、Odoo Experience 2024がベルギーのブリュッセルにて開催され、Odooバージョン18.0がお披露目されました。以下、初日のOdoo社CEO Fabien Pinckaers のキーノートスピーチから諸々の新機能や改善ポイントにつき、プレゼンテーションに沿ってご紹介します。
関連リンク:
・Odoo Experience 2023 Keynote - Vision & Strategyについてのブログ記事はこちら
・Odoo社によるOdoo 18 リリースノート(新機能と概要の一覧)はこちら
・Odoo社のBlog記事"Meet Odoo 18"(概要と動画での紹介)はこちら
インドの書店の事例
全て手作業で管理していたインドの書店ですが、スマホひとつでOdooを導入し、在庫管理、eコマース、POSなどをシステム化することができました。
V18からスマートフォンのカメラでバーコードをスキャンできるようになりました。手元にバーコードスキャナがなくてもバーコードを使うことができます。
スキャンしたバーコードがプロダクトとしてOdooに登録されていない場合は、バーコードデータベースから情報を取得し、新規にプロダクトを登録することができます。
販売
見積書ビルダ
見積書テンプレートを作成しておき、お客様に合わせて、ヘッダーやフッターに会社紹介、お客様の声、取引条件、製品詳細紹介などを見積書に追加できます。
見積書のレイアウトを選択することができます。
経費見積計算
見積りには、商品の価格だけでなく、配送料や組立料金などの経費が含まれます。これらの計算には細かいルールがあり、複雑な計算になる場合もありますが、事前にテンプレートに計算式を設定しておけば、追加の距離や重量、容積、などの条件を入力するだけで、自動的に金額を計算し、販売オーダーの該当の配送料やその他経費の明細を更新します。
コンボ
V17でPOSアプリに導入されたコンボ機能(組み合わせセット販売)が、バックエンドとeコマースでも使えるようになりました。
インセンティブ
V18からコミッションアプリが利用できます。販売担当者、販売チーム向けに複数のコミッションプランを定義できます。
在庫
バーコード
RFIDを利用して、より高速にスキャンできるようになりました。
これは動画で見た方が分かりやすいので、RFIDでの実地棚卸の様子をここからご覧ください。100個のプロダクトの棚卸が2秒で終わる様子が紹介されています。
例外発生時の処理
オペレーションタイプをフローの途中で変更することができるようになりました。オーダの出庫倉庫を変更したり、クロスドック(開梱や検品作業を行わず、仕入れた商品をそのまま別のトラックに積み替える配送方式)に変更したり、品質検査を途中で追加したりできます。
輸送管理
自社のトラックまたはサードパーティの運送業者を使用して、配送ルートを編成し、出荷を管理します。
車両アプリで車両ごとに積載重量や容積を設定しておき、配送オーダを輸送バッチオーダにまとめて、車両に割り当てます。手動で割り当てることも自動ルールを設定しておき、自動で割り当てることもできます。
プロジェクト管理
署名
V18からプロジェクトアプリを含め、Odooのどこからでも署名を依頼できるようになりました。
変更履歴
プロジェクトの詳細欄などのOdooの全てのHTMLフィールドの変更履歴を確認できるようになりました。
アプリのアイコン追加
プロジェクトに関連するアプリを選択し、画面上部のツールバーに固定して表示することができます。プロジェクト画面から各アプリへクリック一つで飛ぶことができます。
表示するアプリはプロジェクトごとに設定することができます。
タスクの自動割当
未割当のタスクを選択し、自動計画を実行すると、タスクが自動的に割り当てられます。
会計
OCR読み取り
OCR機能が進化しました。仕入先請求書だけでなく、VISA利用明細PDFなどのドキュメントからも読み取りし、トランザクションを登録できるようになりました。
仕入先請求書と購買、入荷の照合
仕入先請求書と購買オーダを照合する新しい画面では、数量や単価を直接更新することができ、その内容は購買オーダに反映されます。
ローン管理
返済期間と利率を入力し自動的に返済額を計算したり、csvファイルからインポートし、自動的に仕訳を計上することができます。短期負債、長期負債の振り替えも自動で計上されます。
ローンに資産グループを設定しておくと、資産グループごとのローン分析が可能になります。
連結会計
連結会計はリファクタリングされ、会計アプリに統合されました。
表示する会社を選択するだけで、ベルギーのGAAP/ユーロ、インドのGAAP/ルピーでの表示などを単体、または、連結単位で表示できます。
水平グループを選択することで、会社間の比較ができます。
連結を選択することで、会社間取引を除外することができます。その他、期間の選択が簡単になったり、比較期間を選択したり、レポートの表示が柔軟になりました。
勘定科目表の設定が統合され、統合された勘定科目に各会社の勘定科目をマッピングさせることで連結が可能になりました。
予算
予算が全ての会計レポートで利用できるようになりました。
予算の数値をレポート上で変更できます。
予算を複数の分析プランの組み合わせで登録できるようになりました。
購買オーダ入力時に予算をチェックできるようになりました。予算を超過している時は赤字になります。上部の予算アイコンを押すと、予算レポートで数値を確認できます。
承認ワークフロー
Odoo Studio で購買オーダに承認フローを設定
Odoo Studioで承認を設定することは以前からできましたが、V18から複数の承認を設定することができるようになりました。
ワークフローボタンを押すと、承認ステップが表示されます。また、休暇時などに代理の人を指定して、承認を委任することもできます。
ワークフローは購買オーダに限らず、全てのアクションで可能です。
ダッシュボード
デバッグモードでダッシュボードの編集をクリックすると、スプレッドシート上でダッシュボードを編集することができます。
テクニカル機能
画面印刷
ウェブブラウザ上で、Ctrl + P キー押すと、整えられたフォーマットで印刷することができます。画面上の不要なメニューやアイコンは印刷されません。
フォームビュー、かんばんビュー、カレンダーなど全ての画面から印刷できます。
簡潔なURL
URLが短くなり、パンくずリストもURLから分かりやすくなりました。
JSONデータの表示
開発者向けになりますが、URLのOdoo文字を"json"に変更するだけで、画面表示中のデータのjsonデータを確認できるようになりました。
パフォーマンス
レポート用会社を使う方法
集計するデータの多い会計レポートは表示に時間がかかる場合があります。1日分の要約仕訳をレポート用会社に計上することで、連結用のレポートの表示が速くなります。
Odoo.sh
Odoo.shでは、パワフルなプラットフォームを提供しています。
※ 補足:Odoo.shとは
Odoo環境には3つの選択肢があります。
・SaaS (Software as a Service)タイプのオンラインホスティング
・オンプレミス
・PaaS(Platform as a Service)であるOdoo.sh
Odoo.shは、SaaSとオンプレミスの2つのホスティングタイプをミックスしたものです。カスタム開発や第3者アプリをインストールしながら、クラウドベースのデータベースを作成することができます。
パフォーマンスチームのサポート
Odoo標準フローのパフォーマンス問題はすぐに修正します。カスタムコードのパフォーマンス問題についてもコンサルタントが支援できます。
関連リンク:
・Odoo Experience 2023 Keynote - Vision & Strategyについてのブログ記事はこちら
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Odoo V18リリース - 新機能や改善ポイント